空き家&片田舎暮らしから日本を考える~竹炭づくり(3)

前回の記事に引き続き、竹炭作りの作業を紹介する。前回は、竹を炭焼き窯に詰め込み、蓋をする工程まで紹介した。本来ならその次は、「火入れ(炭焼き)」の作業なのだが、私の都合が合わず、出来上がった炭を窯から取り出す作業に参加した。

 

 

お師匠さん曰く、火入れで心がけることは、「見送り三振ではなく、空振り三振で行け!」ということ。つまり、「焼き足りない」よりも「焼きすぎかな?」と思うぐらいの方がよっぽど良いのだそうだ。焼き足りない炭は、生焼けで使い物にならないが、焼きすぎの炭は、灰になる量が増えるだけで、あとはきちんとした炭だからだ。

 

炭焼きの最中は、煙突から出る「煙」でしか焼き具合を判断できないので、蓋を開けるまでは、実際の仕上がりはわからない。

 

まず、窯の上に被せていた土や、「押さえ」として使っていた木材を取り除く。

 

 

 

 

いよいよ蓋を開ける!

 

 

 

外から見た出来上がり具合。火入れを手前で行うため、手前側は白い灰の部分が多い。

 

 

 

 

お師匠さんによると、今回の炭焼きは「とりあえず成功」とのこと。窯から炭を取り出す。

 

 

下の写真は、ドラム缶1基分の竹炭。ドラム缶に目一杯詰めた竹の重さは、約80キロ。それが竹炭になることで、重量は7~8キロになる。

 

 

かごに竹炭を収納する。

 

 

 

 

自分で詰めた竹が、竹炭になったのかと思うと、ちょっと感動(^^)♬

 

 

かごに収納した竹炭は、倉庫に運んで保管する。

 

 

お師匠さんは、タケノコ同様、竹炭も販売している。しかし、竹炭の在庫は、なんと2トンもあるという! 年間100本(約1,000キロ)の竹を伐採し、竹炭を作る(80~100キロの竹炭を生産)・・・ということは、15年間、ほとんど竹炭は売れていない計算になる(^^;)!!

 

お師匠さんは、竹の他に、野菜や米も作って販売しているが、「良い商品を作る努力以上に、”販路”を作るのが大変」と言っていた。良い物を作るのは大変、でも、売るのはもっと大変、ということだ。・・・ドキュメンタリー映画の世界と同じではないか(^^;)!

 

余談だが、私は、お師匠さんの竹炭作りを手伝いながら、また、昨年から自分の庭で「なんちゃって畑」を始めながら、「自家用」という言葉を意識するようになった。畑の知識がなくても、また、たいして手をかけなくても、特に夏野菜はぐんぐん育つということを知った。初夏には、サラダの「自給率100%」も達成した。自生するシソやフキなどは食べきれない量で、「販売して、少しでも生活の足しにしたら?」と言う人もいた。

 

昨夏の畑の様子

 

 

 

初めての収穫(^^)♬

 

 

自給率100%のサラダ!

 

 

最盛期は毎日こんな感じ。

 

 

 

しかし、「自分用に作る」と「一般に売る」との間には、とても大きなギャップがある。販売するには、野菜を大きく、見栄え良く育てなければならい。そして、安定・継続して供給しなければならない。採算をとるためには、ある程度の規模でやらなければならない。そのためには、農薬・化学肥料を使うか、もしくは有機農法でやるなら、相当手間をかけて「たい肥」を作らねばならない。いずれにせよ、片手間でできるようなことではない。農業をメインにしなければ、「売れる」作物は出来ないのだ。

 

下の写真は、私が庭で育てた完全無農薬のキャベツ。土づくりはしていないので、球は小さく、葉は厚くて固く、しかも虫食いだらけである。

 

 

 

 

炒め物に使ったら美味しかったが、こんな虫食いの、小さな、葉の固いキャベツなんて、タダでも食べたくない人の方が多いだろう。こんなのを好んで食べるのは、「意識高い系」、いや、ごく一部の「意識高すぎる系」ぐらいであろう。

 

 

しかし、このキャベツは、ほとんど手間をかけずに育ったものである。土づくりだけでなく、水やり、雑草取りさえしなかった。それでも一応「キャベツ」になり、しかもスーパーで販売されているものより、よっぽど味が濃く美味しかった。

 

こういった経験を経て思うことは、「自家用でいい」ということだ。市販品に比べ、サイズや見た目は劣るけれど、その分、手間をかけず、コストもかけず、農薬も使わずに育てることができる。売るレベルではないので、「収入」にはならないが、自分が食べる野菜を自分でまかなうということは、その分の「出費」を抑えることができる、ということなのだから。

 

そんなわけで、私は「自家用のすすめ」を提案したい!

 

さて、話を元に戻す。お師匠さんの土地は、私有地ではあるが、近所の人たちの散歩道にもなっている。私が竹炭作りをしていると、通りがかりの人たちが良く話しかけてくれた。ほぼ全員が高齢者だ。女性は散歩、男性はほろ酔いでカラオケ喫茶の帰りというパターンが多かった。ここは、商店街はもちろんシャッター街で、駅前にコンビニさえない過疎の町だが、三軒あるカラオケ喫茶はどこも盛況で、近く、新たにもう一軒オープンするそうだ。

 

大根の花を摘んだと見せてくれた女性たち。私は大根に花が咲くのも、それがこんなにきれいな紫色だということも知らなかった(^^;)

 

 

通りがかりの人たちと世間話もしながら作業をしていたら、お昼ご飯の時間になった。この日は、炭の取り出し作業しかしていないが、またまたご飯をごちそうになった。

 

相変わらず、超大盛り! しかも、超おいしい!

 

 

 

 

 

この日は午後に用事があったので、お昼ご飯を頂いたあと帰宅した。

 

次回のブログでは、いよいよ炭焼き(火入れ)作業について紹介する!

 

※追記:続き(「竹炭づくり(4)」)はこちら