音声ガイドって面白い! モニター上映会報告

8月8日(火)に、埼玉県の坂戸駅前集会施設で、『インド日記』のライブ音声ガイド付き上映会が行われます。先日、音声ガイド&字幕読みを担当してくださる方々の最終仕上げを兼ねた、モニター上映に参加してきました。

 

音声ガイドというのは、目が見えない人&見えにくい人のために、映画のシーンを説明したり、字幕を読みあげて、映画を一緒に楽しめるようにすることです。最近は、スマホで音声ガイドを聞きながら映画鑑賞ができる上映も、少しずつ増えてきているそうです。

 

私自身は、目が見えない方々に、自分の作った映画を観てもらったことはありません。ですので、音声ガイドのボランティアグループ「声なびシネマわかば」の、代表・木野さんに「インド日記を上映したい」とご連絡いただいた際、それはぜひ!と興味津々でお願いしたのでした。

 

試写用のDVDディスクをお渡しすると、しばらくしてガイド担当の方から、映画に関する質問がメールで送られてきました。質問の内容は、この映画の制作者である私でさえ、気にしないまま撮影&編集していた部分についてのものが多くありました。「ガイド」として着目する部分が、私がふだん映像を見る視点とは全く違って、とても新鮮でした。

 

ガイド担当者の方から送られてきた質問の一例:

 

1’04” 字幕の「ジャンタル・マンタル」を検索すると、ジャイプールの天文台と出るのですが、デリーにも同じ地名があるのでしょうか。

2’23” 配布している紙は何でしょうか。また、人々はどこへ向かっていますか?

3’25” ステージの横断幕はヒンディ語かどうか分かりますか?

7’20” 全体で千人ぐらいですか?

8’32” 冷ましているのは牛乳ですか?(受け取ったラッシーは温かいのですか?)

10’50” 花婿が入るのは寺院ですか?

11’15” 場所はどこですか? 前のシーンとは別の日ですか?

19’02” SEWA公式の活動紹介ビデオですか?

 

・・・といった具合です。制作者である私も含めて、画面を見れているならば、その場所がはっきりとはわからなくても、なんとなくの「雰囲気」で分かったような気分になってしまいます。でも、ガイド視点で細部まで質問されることにより、実はよく分からないで編集しているではないか!と気が付きました(^^;)

 

一応、私が分かっている範囲でお答えしました。例えば:

 

1’04” 字幕の「ジャンタル・マンタル」を検索すると、ジャイプールの天文台と出るのですが、デリーにも同じ地名があるのでしょうか。
→「ジャンタル・マンタル」は、Jantar Mantarと書き、ニューデリーの中心地にある観光地です。「ジャンタル・マンタル」前の大通りが、国会議事堂へと続くので、様々なデモや請願行動などが、このエリアで行われます。

 

こんな感じで。ただし、そのほかの質問の大半については、私自身も「分かりませんが、たぶん・・・」となってしまいました。何しろ、インド、そしてヒンディー語に関して、ほとんど無知ですからね・・・(^^;)

 

そして、先日、8月1日には、上映会本番前の最終仕上げ&モニター会に同席させていただきました。音声ガイドは、映画の内容にもよりますが、外国語の作品であれば、通常はガイド担当者と、字幕読みを担当する人で構成されます。ガイドは情景を説明し、字幕読みを担当する人は、表示される字幕を読みあげます。

 

字幕読みは、男性の声は男性が、女性の声は女性が担当することが多いようですが、人手が足りない場合は、声色を変えていろんな役の字幕読みを担当することも! 実際、この日も、1人の人が女性、男性、子供・・・と声色を使い分けていました。

 

そして、目の見えない方に伝わるようにガイドが出来ているかを確認するために、視覚障害のメンバーの方が、モニターとして上映に参加してくださいました。

 

どのように自分の作品が「ガイド」され、字幕を「読み上げられる」のか、ドキドキしながらモニター会場に向かいます。

 

今回の上映は、ライブ音声ガイドのため、ミキサーを使ってマイクを4本つなぎます(ラジオで聞くガイドなら、送信器などをつなぐそう)。ライブ音声では、映画の音声とマイクボリュームの調整が重要です。私には、ミキサーは未知の世界なので、やたら難しそうに見えました。

 

「音声ガイド」は、もちろんガイドや字幕読みのスキルも大切ですが、それと同等かそれ以上に、機材の操作の習得も大事なんだなぁ・・・。

 

 

 

無事、機材のセッティングが終わり、いよいよモニター上映の開始!

 

 

 

 

セリフが書かれた台本。

 

 

モニターとして参加してくださった遠藤さん(向かって右側)。実は、この日は上映の最中に気が付いたことをメモしてくださっていたのですが、ペンのインクが切れていることに気が付かず、紙には何も書かれていませんでした。残念・・・! しかし、記憶している範囲で、気が付いたことをいろいろアドバイスされました。

 

 

 

上映終了後のお昼ご飯。メンバーの方が、私の分もまとめて買ってきてくれました。「インドだからカレーにしました」ですって(^^)!

 

 

モニター会終了後、皆さんと記念写真。

 

 

 

来週はいよいよ本番です! 当日は、ライブ音声ガイド付き上映の後、私の質疑応答も予定されています。以下に、上映会の詳細と、「事前解説」をご紹介します。

 

「事前解説」とは、映画をよりよく理解するために、映画の中では説明しきれない情報について、事前に解説されるものです。『インド日記』の事前解説は、ライターで、声なびシネマわかばのメンバーでもある、前田己治子さんが書いて下さいました。

 

【上映会詳細】

 

『インド日記』ライブ音声ガイドつき上映
2017年8月8日(火)開場13:00、開映13:30
会場:坂戸駅前集会施設(埼玉県坂戸市日の出町16-11‐201)
参加費:500円
会場までの誘導など、詳細についてはこちらをご覧ください。

 

【事前解説】

 

『インド日記』 用語解説

 

●映画に出てくるインドの地名

 

都市
○デリー
インド北部の大都市で、インドの首都。正式名はデリー連邦直轄地。「インドの首都はニューデリー」と学校で習った方も多いと思いますが、実はニューデリーは、デリーに9つある区のひとつ。日本の教科書などでも2002年以降は「インドの首都はデリー」となっています。地域人口約2000万(日々増殖中)。
○アーメダバード
インド中西部にあるグジャラート州の首都。人口約650万。デリーからは約800キロで、東京から広島くらいの距離。飛行機で1時間半ほど。

 


○タミール・ナードゥ州
インド大陸の一番南(南東部)にある州。州都チェンナイからデリーまでは距離で青森から博多くらい。インドでは飛行機で2時間半、長距離特急列車で36時間かかる。
○パンジャーブ州
北西部にあり、パキスタンに面している州。コルビジェが都市計画に携わったことでも有名な州都チャンディガールまでは、デリーから電車で3時間半と日帰り可能。民族衣裳のパンジャビ・スーツ発祥の地域としても有名。
○ウッタル・プラデーシュ州
ガンジス川流域の平原にある、インド北部の州。インドの州で最大の人口約2億人を擁し、インドの政治的実権を握っている。デリーまでは、東京から神戸くらいの距離。
○ケーララ州
インドの南端の西側の州。タミール・ナードゥ州の隣。紅茶産地のニルギリがあることでも知られる。

 

●インドの言葉
インドには、少なくとも30の言葉があると言われますが(方言じゃありませんよ、方言は2000あるとか!)、憲法が定める共通語は、ヒンディー語と英語です。
この映画の中では、早川監督は英語でインタビューして、英語が通じない場合には通訳を頼んでいます。デリーではヒンディー語、アーメダバードではグジャラート語などが話されています。

 

●映画に出てくる人々の服装
子どもと男性は、ほとんどが洋服。男性はシャツにズボンで、ベストやジャケットを重ね着している人も多い。女性はサリーという布を巻きつける形の民族衣裳が多く、その他サルワール・カミーズ(パンジャビ・スーツ)というインド風チュニックにズボン、スカーフを首にかけるスタイル。女性の洋服姿は、ほとんど出てきません。

 

●ガジュマルの木
副題にある「ガジュマルの木 」とは、熱帯地方に育つクワ科の常緑樹。日本では屋久島、種子島より南、主に沖縄などに育ちます。気根(きこん)という空気中に出る根っこを、枝などから生やすのが特徴。気根は地面に届くと根づいて幹のようになって、1本の木とは思えないほど。枝や幹に複雑に絡まった気根の様子から、カラマルという言葉がなまってガジュマルになったという説があります。

 

上映会は、目の見えない方も、見える方も、どなたでも参加できます。ご参加をお待ちしています♪