【映像あり】3.11福島原発事故から12年・経産省前抗議集会レポート

2023年3月10日、東日本大震災・福島原発事故から12年目を迎え、経済産業省前で抗議集会が行われました。

 

以下、当日の様子を写真と映像でレポートします。

 

ゲストからの発言。3.11当時の首相・菅直人議員。

 

 

経産省前に集まった人たち(主催者発表で、参加者は約100人でした)。

 

 

 

 

福島みずほ議員のスピーチ。

 

 

武器取引反対ネットワークの杉原浩司さん。

 

 

福島からのメッセージとして、武藤類子さん、黒田節子さんからの連帯メッセージが代読されました。そのほか、福島の漁師・小野春雄さん(新地漁協組合員)のビデオメッセージが紹介されました。

 

〇武藤類子さんのメッセージ

 

経産省前テント広場につながる皆さまへ
福島から 武藤類子

 

12年の間、暑い日も、雪の日も経産省前に座る続ける、経産省前テントひろばの皆さまに心から感謝を申し上げます。

 

福島原発事故から12年。原発事故は、未だ収束すらしていないし、7つの市町村には帰還困難区域が存在し、数万人の避難者が故郷に帰ることができずにいます。にもかかわらず、たった12年で原発回帰の方向に転換されようとしている事態に、心底憤りと悲しみを感じます。原発事故の反省から教訓として選んだ「原子力の依存を低減する」「原発の運転期間を原則40年とする」「原子力の規制と推進を分ける」政策を手放し、私たち被害者の犠牲を踏みにじるような愚かな選択をすることが、次の原発事故を準備することになると思えてなりません。私たちはなんとしても、この暴挙を止めなければなりません。

 

そして、ALPS処理汚染水の海洋放出が、今年の春から夏へと迫っています。一旦海洋に流し始めたら、今後何十年も流すことになります。汚染水が流される先には、海を生きる場とする人々がいて、海を住処とする生物がいます。海洋放出は命の侵害です。事故で既に膨大な放射性物資を流しているのに、国と東電が福島の海から意図的にさらに放射性物質を流すことに、私たちはいたたまれない気持ちになります。何とか止めたいです。テント広場の皆さんが、福島の市民が行うハガキ作戦に共感を寄せて下さり、総理大臣・経産大臣・東電社長へのハガキ作戦に取り組んで下さったことは、とても嬉しいことでした。また、私たちは、4月13日近辺に、世界の各地で海洋放出に反対するスタンディングを行うことを呼びかけています。世界の市民が繋がって、汚染水の海洋放出を止めるうねりを一緒に起こしていきましょう。

 

テント広場の皆さまにも応援を頂いた東電旧経営陣の刑事裁判控訴審は、今年1月18日に一審に続き「全員無罪」と言う判決でした。現場検証も重要な証人尋問も却下し十分な審理を行わず、「無罪」という結論のために書かれたとても納得しがたい判決でした。一審以上に悔しい判決でした。これは原発回帰の方向性と無関係ではないと感じます。私たちは、最も責任を取るべき人に責任を取らせ二度と同じ悲劇が起きないように刑事告訴をし、裁判を闘ってきました。このままでは終われないのです。指定弁護士によって最高裁への上告が決まりました。高裁判決の間違いを社会に広め、最高裁での弁論が開かれるように運動を続けたいと思っています。

 

今は暗闇とも思える世界ですが、小さくても暖かい火を一人ひとりが灯し続けましょう。

 

〇黒田節子さんからのメッセージ

 

3.10 経産省前抗議集会へのメッセージ
黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち)

 

脱原発社会に向けて日々弛まない努力を続けておられる皆さまに、福島からメッセージを送ります。この国のおぞまじい原発政策で、先の見えないフクシマです。

 

■ 福島では…

 

メディアが政府の広報誌に成り下がっている中、「復興」や「前向き」が連日のように連呼され、信じ難いことがまかり通っています。ごく最近のことだけでも次のようなことがありました。聞いてください。

 

①「海ぶどう」の生産を双葉町でやり始めた人たちの紹介。「双葉町を新しい町にしたい」「沖縄のように観光客が海にたくさんやって来るようにしたい」…人々の願いと生活再建の苦闘には、つい目頭が熱くもなります。しかし、だったら、汚染水海洋放出はどうなんだ、これ以上海を汚していいハズがないでしょ!

 

②最も酷いのが、子どもをダシに使ったキャンペーンです。2月末、経産省主催で「小中学生集まれ!相馬の海幸のまつり」がありました。これは「出前食育活動」として県内及び近隣県の水産物を学校給食に使おうというもの。水産物の安全性を「醸成」する、つまり汚染水海洋放出の安全PRのために子どもたちを利用しようとしているのです!

 

③数年前の6号線清掃活動が思い出されますが、今度は帰還困難区域の中でも最も線量の高いところで、高校生の自転車ロードレースがこの4月に予定されている。主催は福島民報。狂気の沙汰です。

 

「海洋放出に伴う需要対策基金」つまり「風評」を抑えるための300億円。線量については一言も触れないまま、電通がTVでも巨額の利益を得ているという具合です。

 

■ 子どもを被ばくから守るために、どうか力を合わせましょう!

 

「311子ども甲状腺がん裁判」を応援してください。この10年間、声を上げることができなかった小児甲状腺がんの患者がついに立ち上がりました。事故当時の幼稚園生から高校生まで男女7人が、東電を訴える裁判の原告になったのです。これは放射能との因果関係を求める、ある意味決定的な、今後の様々な裁判にも影響をあたえる裁判でもあります。勇気を出して裁判に臨んだ若い人たちを、どうか見守ってください。

 

■ ‘非‘ 科学的な委員会UNSCEAR(国連科学委員会)で出した2020/21レポートは…

『F1からの放射能で健康被害は無い。将来的にも、ガンは取るに足らない発症率だ。子どもに甲状腺がんが多いのは、スクリーニング検査のため』と公表しました。これらの許し難いウソにも立ち向かわねばなりません。

 

■ 最後にお願いがあります。

 

「福島の人はなんで怒らないの?」と福島の人に問い詰めないでください、批判しないでください。仲間内からも時々言われるのですが、圧倒的な力でフクシマが抑え込まれているときに、安易な言葉、それは私(たち)をさらに追いつめます。悪いのはけっして福島県民ではありません。どうかどうか、よろしくお願いします。

 

〇小野春雄さんのビデオメッセージ「海はすべての命の源! 海はおれたち漁師の仕事場だ!」は、以下よりご覧いただけます。(約15分、制作:「3.11原発いらない☆ふくしま集会」実行委員会)

 

 

〇小野春雄さんのビデオメッセージの概要

 

 

海はすべての命の源!海はおれたち漁師の仕事場だ!
小野春雄(新地漁協組合員)

 

私はこの新地町で生まれ、15歳から漁をして明日2月6日で71歳になる。56年ここで漁師をしている小野と申します。この大きい方の観音丸は震災のとき命がけで助けたのだが今は使っておらず、本格操業になれば使うつもりで置いてある。もう1隻の第18観音丸の方を震災以後使っている。

 

われわれが一番腑に落ちないのは菅元総理、そして今の岸田さん、待ったなしにタンクに溜まったトリチウム水を流すっていうのはおかしな話だ。菅さんも岸田さんもタンクのことなんかまったくわかっていない。流したら結果は永遠に残る。流して来年再来年なくなるのならそれはいい。しかし永遠に残るものを流してはいけない。今トンネルを掘って1km先に流す段取りをしている。大丈夫なものだと言うなら、何も1km先に、何兆円も金かけて工事する必要はない。そのお金は国が出すのか東電が出すのかわからないが、凍土壁みたいにわれわれの税金で作るのならとてつもないことだ。100km先ならまだしも、1km先に持って行って流すことなど意味がない。

 

海はそこに流して留まっているものではない。海は人間のものではない。みんなのものだ。われわれは海を仕事場として消費者においしい魚を提供している。事故から12年経ってやっと値段が高くなってきた。震災当時なんて、全く売れなかった。どんな魚でも大体100円くらいだった。今ヒラメなんかは3000円から5000円、震災前から見たら相当高い。シラスなどは300円くらいだったのが、去年は1500円くらいの値がついて5倍まで上がっている。これが、トリチウムを海に流したらどうなるか、目に見えている。福島の魚なんかみんな買わない。今復興道半ばですよ。

 

安倍元首相がアンダーコントロールなんて言ったが、していないでしょ。戻って来れない人がどれだけいるんですか。そして再稼働がなんで出てくるんですか。どこだかの大臣は放射能で亡くなった人はいないなんて言ったが、関連死で亡くなった人がなんぼでもいる。ああいうことを言った政治家は孫を連れてここに来て暮らしてください。そして毎日魚を食べさせてください。そうしたら宣伝にもなるし。

 

福島県をバカにしているのか。福島県民はがまん強い。これまでがまんしてがまんして、12年経ってやっと落ち着いてきた。これで今年か来年(汚染水を)流したら、また1からやり直しだぞ。もう体力ねえぞ、うちら12年もがまんしてたんだから。本当にやることおかしいよ。だってわれわれ漁業者、農民、林業者、誰一人悪い事していない。やはり守るべきは、被害に遭ったわれわれ漁業者、農民、県民であって企業ではないはずだ。事故を起こしたのはあくまで企業なのに、なぜ企業を優先するんだ?

 

われわれの所に東電や経済産業省が説明に来たのはまだ3回だ。2回や3回で納得するわけねえべって。実害が出たら誰が責任負うんだって。魚安くなったら買い上げるだの言っているが、そんなことをすれば保管料や廃棄料がかかる。われわれは保管するために魚を獲っているわけではない、おいしい魚を消費者に届けたいというプライドがある。そのために本格的操業を目指して努力している。

 

それなのにトリチウムを流したら、今までの12年間何だったのか、ということになる。本当にわかっているのか、政治家にはここに来てもらいたい。菅さんは待ったなしだと言ったが、何が待ったなしなんだ?あんなもの溜めておけばいいんだから。溜めておいたからって、誰にも迷惑かからない。誰にも迷惑かからないことをやればいいのに、一番迷惑かかることは海に流すことだ。それで何で福島県の海なんだっつうの。使ったのは東京でしょ。東京湾に持って行ってくださいって。大阪でもいいというなら大阪に持って行ってください。そういうことを何で福島県の知事内堀さんが言わないんですか。あの人わかんないのか。宮城県の知事さんは1月の年頭のあいさつで復興大臣にちゃんと頼んでいる。内堀知事は何をやってるんだ?

 

漁業ばかりでなく観光もダメになる。海水浴もサーッフィンも釣舟もできない、県知事はそういうの考えないんだべか。海は生命の源、そんな海を人間が勝手に汚していいかって。海は魚の住処。魚だっていろいろいる。科学的根拠をもって流すのならいいが、何も調べないでただ世界で流しているからいいとか言っている。ならなぜ12年前に流さなかったんだ。何で溜めとくんだ?何かあるから溜めとくんだべ。今になって希釈して流す、おかしいべって。何で流すんだ、こんな毒入りのやつ。この船のエンジンの中にも水がたまるが、それを大海で流したことが保安庁に見つかれば罰金を食う。それだけ厳しいのに、プラスチックはダメ、船のアカもダメ、トンパック土壌もダメ、じゃあなんでトリチウムだけいいの?こんな毒を海に流していいのや。おかしいべって。

 

浜下りという風習があって、豊作や交通安全を祈って神輿をかついで海に奉納するということを今でもやっている。俺に子どもができてお産したときには3日間この船に乗ることができない。それが明けた次の日朝寒いうち裸になって海に入って体を清める。それだけ海って神聖なところなんですよ。そんなところに人間が、菅さんだろうと岸田さんだろうと、勝手に流していいなんてことを政治家たる者言うべきではない。政治家は全然海のことわかんない。危険なものはわれわれ漁師の承諾がない限り流さない、という東電との確約がある。それを守らないで何なんだと。

 

そもそも国民には東電を信用している人はいない。隠ぺいばかり。最後に実害が出たら、誰が責任負うのか。誰も責任を負わない。30年後、50年後泣きをみるのは福島県民、われわれ漁師だ。子どもや孫たちに何と言うんだ?だから俺はこうやって頑張って止めっぺって言ってる。2年前うちで獲ったクロソイで1400ベクレル出たが、この原因がわからない。こういうのを菅さんだって岸田さんだってわかってるのかって。高濃度のデブリもまだ取ってないんだぞ。デブリに触れた水がそこら辺まで行ってるのかもしれない。魚は産卵時期に沿岸に来る。だからもろに被害を受ける。どんな魚だって、産卵するためにプランクトンのいる沿岸に来るんだ。

内堀知事はどんなことあったって反対しなきゃいけない。閣議決定したからって、世論の力で止めなきゃ。海に流しちゃダメ。海は大きな生き物だから。

 

(小野春雄さんのメッセージは以上)

 

 

福島県双葉町から避難した亀屋幸子さんの発言。今も住まいの問題に苦しみ、新しく移り住んだ場所では、友人もできないという訴えに胸が痛みました。

 

 

集会の途中、本集会の主催団体である「経産省前テントひろば」より、脱原発の運動をさらに広げていくための、「脱原発焼酎」の販売についてアナウンスがありました。

 

こちらが、経産省前テントひろば・限定ラベル付きの本格焼酎!

 

 

なんと、ラベルは一枚一枚、手作業で貼っています!

 

 

脱原発焼酎を販売することになった経緯について、販売チラシより紹介します↓

 

脱原発の闘いは、いまも経産省本館の玄関前路上での連日の座込み抗議行動に引き継がれています。今回、本格焼酎「脱原発」(アルコール分25度)の販売を始めたのは、岸田政権によるGX政策強行に抵抗するテントひろばが、独自ブランドの本格焼酎をテコにして脱原発戦線の拡大を目指すためです。

 

焼酎の蔵元さんは、長野県佐久市で1681年(天和元年)に創業された千曲錦酒造(株)です。テントひろばのメンバーでもある酒店「藤小西」店主の石田藤男さんに紹介して頂き、テントひろばが販売協力という形で、新規に販売を始めました。

 

佐久市は、佐久平と呼ばれる標高700mの高原で350年近く前に創業された日本酒蔵です。北に浅間山山系、南に八ヶ岳連峰、その真ん中に日本最長の川「千曲川(新潟県に入り信濃川と名前が変わります)」が脈々と流れています。そんな大自然に囲まれて極寒(真冬は早朝で氷点下10℃位)の季節に醸した「千曲錦」「帰山」などを醸造販売しています。

 

その日本酒蔵渾身の安旨麦焼酎「丸山」に、デザイナー281_Anti Nuke さんの絵柄ラベル「脱原発/No Nukes」を貼って皆さまにお届けします。

 

Q:どうやって入手するの?(購入方法)
→ 電話、FAX 又は電子メールにて注文してください。座り込みの現場(霞が関の経産省前)で手渡しできます。

 

 

Q:どうやって申し込むの?(申込方法) 遠方の方には送料着払いでお送りします。
→ 焼酎の種類と注文本数(720ml-1,500円、1,800ml-3,000円)、あなたのお名前、電話番号又は電子メールアドレス、お届け先郵便番号と住所をおしらせください。
電話: 070-6473-1947(テントひろば)、FAX: 042-301-8946(大賀さん)
電子メール: e_ooga@jcom.home.ne.jp

 

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皆さまぜひお買い求めください!!

 

さて、集会の後半は守屋真実さんたちによる歌と演奏から始まりました。

 

 

つづいて、毎日の経産省前座り込みの、各曜日ごとの担当者によるスピーチ。

 

 

テント弁護団、一瀬敬一郎弁護士(写真中央)と大口昭彦弁護士(同左)からの挨拶。

 

 

火炎瓶テツさんによるシュプレヒコール!

 

 

たんぽぽ舎・山崎久隆さんによる挨拶。

 

 

最後は、奥内幸子さんによる詩の朗読「雨にもマケル」(作詞は、原発事故で南相馬市から避難をした青田恵子さん)。

 

 

集会を記録した映像は、以下よりご覧いただけます(約2時間)。こちらも合わせてごらんください。

 

 

以上、3.11福島原発事故から12年・経産省前抗議集会のレポートでした!