【雑木林コラム】介護の日常 ー 「公開」は創作のモチベーションに!(動画あり♪)

昨年5月~7月にかけて、立川の「市民の学習・活動・交流センター シビル」にて、全6回の映像制作ワークショップを担当しました(ワークショップの詳細はこちら)。

 

受講者募集の案内を友人・知人に送ったところ、ルポライターの西村仁美さんから「講座に興味がある」と連絡を頂きました。しかし、約2か月の受講期間のうち、すでに出席できないと分かっている日が数回あるとのことでした。

 

全6回しかないワークショップで、数回もお休みするのはかなりもったいないので、映画監督の土屋トカチさんと松原明さんが、川崎で開講されている映像ワークショップを紹介しました。ちょうど、シビルとは時期がずれて開催されるので、そちらなら受講できるとのことでした。

 

もちろん、私が担当する講座を受講してほしいという気持ちはありましたが、でも、映像制作についての基本的な知識と操作を学ぶのは、土屋さんたちのところでも、白石さんたちがされているアワプラのワークショップでも、そう変わりはないと思うのです。(むしろ、私の講座の方がマニアックだと思います^^;)。

 

そんなわけで、最終的に西村さんは、土屋さんたちの講座で映像制作を学んだのですが、先日、講座の課題として制作した3分間の作品を、YouTubeに限定公開したURLを送ってくれました。(限定公開とは、そのURLを知っている人しか見られないようにしてある設定のことです)。

 

作品のタイトルは、『Yo! かいご』。説明文の欄には、以下のように書いてありました。

 

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2013年の年の瀬、おかんは脳出血を発症、ほぼ全介助状態となった。現在は老人ホームにいる。そんなおかんを迎えての、我がアパートでの初の「正月泊」。車イス状態の母には十分な環境とは言えないが、はてさてどんな一泊二日になるのやら--。

 

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早速再生すると、そこには、なんとも自然体で撮影された日常の様子が映っていました。自然体ではあるものの、全介助状態のお母さまを、バリアフリーではないアパートに泊めるということの、双方(介護する方&される方)の大変さと歩み寄ろうとする気持ちが、映像からしっかりと伝わってくるのでした。

 

よそから来たカメラマンやTVのクルー取材では、決して醸し出されないであろう空間が、家族ならではの視点で映し出されていました。

 

私は、誰かの介護はおろか、車イスを押した経験さえないので(鎌砥ぎは毎日やるのに^^;)、段差に簡易スロープを渡しているにもかかわらず、車いすを押すのに苦労するという場面には衝撃を受けました。(スロープを置いても、地面とスロープにほんの少しの段差が生じていたり、スロープの傾斜が急なら、やはり車イスを押すのは大変なのか…)と。

 

私は作品を観終えて、西村さんにすぐに連絡し、「限定公開ということですが、わたしのワークショップを受講してくれた生徒さんたちに、紹介させていただけませんか?」と尋ねました。とても参考になると思ったからです。

 

西村さんは快諾してくれましたが、「そのうち公開しようと思っているので、出来ればその時に紹介してください」というお返事をいただきました。

 

公開されたら、もっといろんな人に観てほしい!!

 

そう思って、一般公開設定になるのを楽しみに待っていました。

 

先日、西村さんから「一般公開に変更した」という連絡を頂きました。メールには、以下のようにも書き添えてありました。

 

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母はともかく自分が映っている映像は、どうにもこうにも抵抗感があり、ほかにもいろいろ思うところがありました。ですが、そんな個人的なことよりこれを観て、介護を要する当事者の方々や、介護で苦しんだり悩んだりしているご家族やら、介護を職業的にやっているような人々のなんらかの助けや救いに少しでもなればいいや、と思いました。

 

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主人公の映りがどうかよりも、作り手本人が映る(映りこんでいる)ことに対して、ものすごい抵抗があるというのは、私も全く同じですので良く分かります(^^;)。10年以上ドキュメンタリーをやっていても、未だに自分の話し声や話し方、カメラ映りが大嫌いで、書き起こしのために自分が移りこんでいる映像を再生確認するのは苦行でしかないのです(> <)。

 

そこで私は以下のようにお返事しました。

 

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西村さん自身が写っている映像に抵抗があるとのこと。

 

堀潤さんやマイケルムーアのような出たがり?の人を除いて、大抵の人は自分の姿や声はなかなか抵抗があると思います(^^;)

 

私も未だにそうなんですが、でも、自分が写っていることでより状況が伝わったり、自分の率直な反応や行動が観る人に伝わる方が、より分かりやすいという場合も多々あるため、これはもう、慣れていくしかないし、諦めるしかない(^^;)

 

短い作品とはいえ、編集して公開するのは大変な作業ですが、他人に見せるというのもまた、モチベーションの維持に役立つと思いますので、マイペースで頑張ってください(^^)

 

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今、こうして自分の書いた返信を読み返してみると、自分自身に対してならともかく、他人に対してまで「慣れていくしかないし、諦めるしかない」などと書いているのが失礼すぎるのですが(^^;)、ドキュメンタリーは自分の声(必要に応じて映像も)が入るのは必至なので、ドキュメンタリーを作る以上はあきらめないといけないのです!

 

ま、そんなことを言う私自身が、未だに自分が映る画面に向かって「最悪!!」とか「お前どけ!」とか叫んでいるのですが…(^^;)!

 

話が若干それましたが、西村さんが作られた作品を以下にご紹介します。ぜひご覧ください(^^)

 

 

西村さんは、今後も月イチぐらいのペースで短い作品をYouTubeに公開し、いずれは劇場公開もしたいと考えているそうです。「なにか目標を持った方がやりがいにも人生のはりあいにもなりますからね」とも書かれていました。

 

今後の作品も楽しみです(^^)!!