【制作日誌】8・15靖国! 右翼と左翼とオリエント工業と( ゚∀゚)人(゚∀゚ )(2018.08.15 革命前夜 – 動画あり♪)

8月15日-それは、日本で暮らす私たちにとって、どのような歴史観を持つにせよ、特別な日です。

 

私は、映画『革命前夜』撮影中、この8月15日は、靖国神社に参拝する人々、そして靖国および天皇に反対する人々の両方を撮影したいと考えていました。

 

りべるたんは、オルタナティブ界隈では「左翼系シェアハウス」とも呼ばれ、基本的には左翼思想の人が多いのですが、右翼的な思想を持つ人や、民族主義者の人も訪れます。

 

なので、りべるたんに関わる人々の8・15を追いかけたいと思ったのでした。

 

3年前の8月15日、私は始発電車に乗って靖国神社に向かいました。まだ人が少ない時間帯ならば、落ち着いて風景映像の撮影ができると考えたからです。しかし実際には、早朝から多くの人出があり、警察の警備も始まっていました。

 

靖国神社の周辺をひと通り撮影した後、待ち合わせ場所の九段下駅に行きました。山口祐二郎さんが設立した民族派団体の「憂国我道会」が、朝8時に集合し靖国神社の昇殿参拝を行うとのことで、同行取材をさせてもらうことになっていました。

 

これまでも、8月15日の靖国神社に行ったことはありますが、取材とはいえ昇殿参拝は初めてのことです!

 

九段下駅から緩い上り坂を歩き、靖国神社へ。メンバーは総勢10名ほどでしたが、スーツ姿の公安警察数名が、待ち合わせ場所からずっとついてきていました。我道会のメンバーは、その様子を自嘲気味に「はい集団登校しますよ~」などと言っていました。左翼とは異なり、右翼系の人々は公安と普通に挨拶や会話をするのが、なんだか不思議な光景でした。

 

靖国神社の入り口付近には、「市民団体」の方々のビラ配りや署名活動があり、パネルがあちこちに置かれ、混雑の一因ともなっていました。大きな横断幕には、「朝日新聞を糾す百万人署名」とか「子どもたちに正しい歴史教育を!」とか「河野談話撤回の署名にご協力を!」などと書かれていて、文面こそ正反対なれど、真剣にビラを配り、熱心に署名を求める姿は、左翼系市民団体のそれと全く同じに見えたのが印象的でした。

 

両者とも平和を願い、教育が大切と考え、政府とマスメディアを批判する…。思想の「左右」というものは、どこで分かれるものなのだろう? 両者とも、根っこは同じの「意識高い(高すぎる)系」ではなかろうか…?などという考えがよぎったりもしました(こんなことを書くと、左右双方から批判されそうですが!)。

 

靖国神社の大きな鳥居をくぐり、昇殿参拝の受付へ。住所氏名を書き、祈祷料の二千円を支払い、待合室で順番を待ちます。大体150~200人ほどで1グループとなり、移動します。待合室に入りきれないほどの人が、受付に次々とやってきていました。

 

参拝客たちを見てまず驚いたのは、「年齢層が若い」ということでした。お金を払ってまで参拝するような人たちは、遺族会やかつての軍人のような人たちか、もしくは街宣車で活動するような右翼の人たちではないかと勝手に想像していた私にとって、30~50代くらいの人たちが半数以上を占め、服装もカジュアルな、「ごく普通」といった印象の人たちが昇殿参拝に並ぶ…というのは驚きでした。

 

男女比に関しては、男性の方が圧倒的に多く、女性は1割ほどでした。

 

待合室は二段階(二か所)あり、合計で数十分待ちました。実際の昇殿参拝行為自体は、ものの数秒~せいぜい数十秒で終わってしまいます。うしろの人たちが控えているので、ずっと立ち止まることは出来ず、流れていかないといけないからです。これで祈祷料ひとり二千円ですから、この日の靖国神社の総収入はものすごいのでしょうね!

 

昇殿参拝を終えた後の集合写真。

 

 

映像の書き起こしをしていて、何とも複雑な気持ちになるのが、この集合写真の中で既に2人も亡くなっているということです。。。

 

前列中央の黒いスーツを着た高橋直輝さん、そして彼の右隣、紺色のシャツを着た岩淵進さん。いずれも40代と30代の方ですから、撮影をしていた時は元気そうで、その後まさか亡くなるとは想像もつきませんでした。

 

ご冥福をお祈りします。

 

靖国神社参拝のあとは、千鳥ケ淵戦没者墓苑に向かいました。我道会の方々が、正午の黙とうに参加するとのことで、私もついていきました。

 

道路を曲がればもう千鳥ケ淵…というところで、突然私たちは警官によって通せんぼされました。「現在、通行止めになっている」と。

 

…っていうか、私たち以外の人たちは、通行して(させて)いるじゃないですか…!!??

 

警官との押し問答によると、どうやら、ちょうど安倍首相が千鳥ヶ淵を訪れているタイミングのようでした。

 

左翼よりは警察と衝突しにくい右翼・民族派団体でも、我道会は安倍政権を批判する人たちなので、安倍首相と同じタイミングで千鳥ヶ淵に来られては困る(ヤジなどを飛ばすから)ということで、安倍首相が去ってからにして欲しいとのことでした…!!

 

なんだそりゃ?!

 

政府や警察にとっては、思想が右だろうが左だろうが、要は「現政権(安倍政権)を批判する人たちはダメ」という基準なのかしら(^^;)?!

 

彼らの押し問答する姿を撮影しながら、私にはそんな風に思えてなりませんでした。

 

通行止めにされてしまったので、ずいぶん回り道をして千鳥ヶ淵へ向かいました。

 

おぉ! テレビで見たことのある光景!!

 

 

こちらは靖国神社に比べて、ずいぶん閑散としていました。正午の黙とうの時でも、広い敷地内にはおそらく200人ぐらいしかいなかったのではないかと思います。こちらの施設の方が、多くの人が訪れても良さそうなのになぁ…?

 

千鳥ヶ淵での集合写真。

 

 

正午の黙とう後、私は我道会から離れ、また靖国神社に戻りました。昇殿参拝の同行取材では、彼らの姿を追うだけで精一杯だったので、今度は自分一人で、靖国神社自体をきちんと撮影したいと思ったからです。

 

まずは報道関係者受付に行き、取材許可証をゲット!

 

 

無事許可証を手に入れ、撮影を開始!

 

 

 

靖国神社内の立て看板。ドローン禁止とか、ネット中継禁止とか、イマドキの注意書きですね(^^;)

 

 

午後になって、ますます参拝客が増えてきました!

 

 

 

 

報道関係者エリアは閑散としています。というのも、8月15日の靖国参拝の様子というのは、テンプレ撮影(参拝の行列ができています的な)でOKなので、ほんの1~2分撮影すれば済むショットだからです。マスメディアの人たちは、ここを少し撮影し、あとは昇殿参拝をする国会議員の姿を撮れば、ニュース映像として事足ります。

 

 

私も一応テンプレ映像を撮影(^^;)

 

 

…と、報道関係者エリアに、知り合いを発見! ジャーナリストの西中誠一郎さんです(^^)

 

 

その後2017年に、今村復興大臣(当時)を記者会見で追及し辞任に追い込み、一躍「時の人」となった西中さんですが、毎年8月15日には、靖国神社を撮影しに来ているとのことでした。

 

 

8月15日に靖国神社に行ったことがある人たちはきっと、乃木大将のコスプレ姿で写真撮影に応じる男性を、見かけたことがあるかと思います。私も行くたびに見かけましたが、2015年の取材では大きな異変が!

 

なんと軍人コスプレ集団に交じって、オリエント工業のラブドールが、従軍看護婦コスプレで参加しているではありませんか!! 驚いて、思わず動画で撮影しました。

 

 

日の丸、コスプレ、ラブドール…

 

…まさに「日本文化、ここに極まれり」の世界ですね ( ゚∀゚)

 

靖国神社の取材を終え、今度は水道橋に向かいました。夕方からの「反天皇制運動連絡会」(通称「反天連」)のデモを取材するためです!

 

集合場所のたんぽぽ舎周辺には、既にたくさんの警察が…!

 

 

横断幕には、右翼及びネトウヨが、半狂乱で攻撃してきそうなメッセージが大書されています!

 

 

事前に「日本で一番重装備の警備がなされる」とか、「ペットボトルが飛んでくるのは当たり前」等々聞いていましたが、ここまで来てひよって帰るわけにはいきません。りべるたんの同志たちも参加しているのですから、私も最前線で取材を決行すべきです! 頭に何かぶつかっても大丈夫なように、一応帽子をかぶりタオルを巻いて防護しました(^^;)

 

出発時刻になり、いよいよデモ開始!

 

 

…ってか、警察の撮影過剰だな(^^;)。これ、参加者の安全を守るためじゃなくて、身元を把握するためでは…?

 

 

確かに、アメフト並みの重装備だわ…(> <)

 

 

 

たかだか200名弱のデモ隊に、この過剰すぎる警備。でも、彼らをよく観察していると、重装備ではありますが、警備はほとんどしていないんですよね。沿道から右翼の攻撃があっても、少し制する程度で、基本的には「このデモに参加するような奴らは、ケガをしても構わない」という考えと態度が見て取れます。

 

この重装備は、要は「コスプレ」で、「反天連のデモは危険です!」というアピールを、道行く人々にしているに過ぎないのです。

 

私費の軍人コスプレならまだしも、税金を使ったコスプレは…(^^;)

 

 

 

実際、デモの途中で、何度も沿道から人が飛び込んできましたが、制止の仕方はワイシャツ姿の公安と、さほど違いはありませんでした。

 

 

 

「ヘイトスピーチ」という言葉は、左翼のボキャブラリーだと思っていたのですが、以下の横断幕を見て、(どちらに立つかで、何が「ヘイトスピーチ」となるかが違ってくるんだなぁ…)などと思いました。

 

 

 

 

ところで、この日のデモに一緒に参加した松平耕一さんも、2017年に大腸がんで亡くなってしまいました。39歳という若さでした。

 

以下の写真、紫色のマスクをしているのが松平さんです。デモ隊の最前列で、シュプレヒコールに合わせてこぶしを振り上げ続ける松平さんの姿を見ていると、もうこの世にいないというのが信じられません。。。

 

 

心よりご冥福をお祈りします。

 

デモは、途中で様々な妨害はありましたが、なんとか無事解散場所までたどり着きました。

 

反天連デモ取材を終え、今度はりべるたんのある東池袋へ。りべるたんの数人が、地元の盆踊りに参加するというので、私も向かったのでした。

 

 

こちらでも撮影!

 

 

さして大きくはない場所ですが、なにげに賑わっています(^^)。最近は、少子高齢化で、やぐらを組み立てることができなくなったお祭りも増えてきましたが、こちらは立派なやぐらが建っています!

 

 

 

 

8月15日という長い一日の撮影を終え、その日はりべるたんに泊まりました。そして、この日自分が見た、様々な光景を思い返していました。

 

何万人もの「ごく普通」の人たちが靖国神社を参拝する様子、怒号と罵声の中を歩く反天連のデモ、警察に監視される右翼と左翼…。

 

先に、「政府や警察にとっては、思想が右だろうが左だろうが、要は現政権(安倍政権)を批判する人たちはダメという基準なのか」と書きましたが、最近はますます、右も左も関係なくなっているように思えます。

 

というのも、左右を分ける判断基準のひとつに、「(象徴)天皇制」を支持する、支持しないがあるかと思いますが、最近ではネット保守の方々は、その天皇さえも「反日左翼」「天皇特権」と批判していますからね!(まとめサイトはこちら)。

 

つい先日は安室奈美恵さんも、翁長さんを追悼したことで「反日認定」されましたし…(^^;)。

 

現政権を批判すれば、天皇含めすべての日本人は即、「反日」「左翼(または極左)」「工作員」認定されてしまいそうですね(> <)!

 

それにしても「左翼天皇」なるパワーワードまで生まれてくると、もはや3周回ってすごいなという感情が湧いてくるのですが、かつて左右が集った「りべるたん」の押入れにも、こんな貼り紙が…!

 

 

まず「大日本帝國万歳!」とあり ー

 

そのすぐ下には、「左翼万歳 極左万歳 社会をぶっつぶせ!」とあり ー

 

さらに「先人の築いた大日本帝國 誠の精神を取り戻し 極左と共に大日本帝國を改正すべし! 政府の弾圧に屈するな!」とある…!

 

えええ!

 

「極左と共に大日本帝國を改正」って、どういう思想なんですか!!??

 

考えれば考えるほど、答えが出ぬまま、2015年の8月15日を終えたのでした。

 

※追記※

 

映画『革命前夜』は、2016年4月までに撮影した映像だけで、作品として完成させる予定で、「追加取材はしない」という方針です。しかし、現在ちょうど3年前の8月15日の撮影映像を書き起こしている最中で、「右も左も取材する!」と意気込んだ割には、右側をきちんと撮れていないことに心底がっかりしていました。

 

昨夜遅く、ふと(明日の終戦記念日に靖国に行こう!)と思い立ち、今日は早朝から靖国神社に取材に行きました。

 

既に、何が撮りたりなかったか&撮れていなかったかを把握していたので、今回の取材はスムーズに行えたのではないか?と思います(願います、かな^^;)。

 

靖国神社での撮影の他、今度は在特会のような右も撮ろうと決め、反天連のデモ迎撃のために九段下交差点に陣取った「行動する保守運動」の中へ入っていきました。3年前の取材とは真逆の場所からの、反天連デモの撮影です。

 

 

 

大歓声、そして大狂乱、凄まじい熱狂と怒号と罵声。靖国神社で見た「右」の光景とは、また異次元の世界がそこにはありました。

 

何が人々を、ここまで熱狂させるのだろう?

 

果たして3年前の映像と、今年撮った映像を組み合わせることが可能かは分かりませんが、今日ここで見た光景も、良し悪しは別として、「この国で今起きていること」として刻みたいという気持ちがあります。具体的にどのように実現するかは未知ですが…。

 

ところで、今日はとてもラッキーなことがありました。

 

3年前に靖国神社で見かけたラブドールですが、後で調べたら、八潮秘宝館館主の兵頭喜貴さんによる展示だと知って、びっくりするやら、なるほどコスプレのクオリティの高さに納得するやら…だったのでした。

 

ラブドールを被写体に、空間全体を細部まで作り込み、思い描く世界観を完璧に具現化する兵頭さんの写真は、本当に素晴らしく、唯一無二の変態アーティストだと大尊敬しているのですが、なんと今日は、兵頭さんご本人とお会いでき、お話までできてしまったのです!!

 

感無量! 来てよかった!

 

ラブドールの傍らに立つ、兵頭さん(^^)

 

 

乃木大将コスプレでおなじみの、那須戦争博物館館長・栗林秀行さんは、ご病気のため来られず、代わりに大きな写真パネルが飾られていました。

 

こちらも、ラブドールと共に撮影させてもらいました。

 

 

以上、2018年8月15日についての追記でした。