映像ワークショップを開催するには?~機材、編集ソフト、課題図書、オンライン受講etc. ~現在の私見・実践まとめ

既にホームページやブログでお伝えしている通り、GW明けから立川のシビルにて、全8回の映像ワークショップを開催します。

 

映像ワークショップの詳細は、こちらをご覧ください。(※受講料が無料になる、講座スタッフも募集中です。興味のある方はご連絡ください!)

 

初心者~中級者を対象として、撮影・編集の基礎からインターネットでの公開までをじっくりと学ぶ講座は、私はシビルでしか担当しておらず、今回は3年ぶり3回目の開催となります。

 

本来は毎年でも開催できるのが理想ですが、自分の制作の時間を確保したいので、2~3年に一度ぐらいのペースが、私にはちょうど良いみたいです(^^)

 

…とはいえ、変化の目まぐるしい映像の世界で、2~3年というブランクはとても長いですよね! 3年前には登場もしていなかったアプリが主流になっていたり、これまで使っていたソフトが廃止されてしまったり…というのは、珍しいことではありません。

 

今回、3年ぶりにワークショップを開講するにあたり、その間に、別の場所で担当した単発の講座での取り組みや、現在の映像制作を取り巻く環境に合わせ、全面的に見直しをしました。

 

映像ワークショップを自分で開催したいと思っている方々にも、何らか参考になる部分があるかもしれませんので、私が今回試行錯誤した結果を書いておきます。

 

もちろん、「映像を撮る」という本質的な部分は、機材やアプリがどんなに変わっても不変ですし、私が選んだ方法が唯一&最善ではないというのは、言うまでもありません(^^)

 

■機材について

 

まず、ワークショップで使用する機材についてです。

 

「ビデオカメラ」でも「デジカメ」でもなく、「スマホ」で撮影~編集~公開まで完結するならば、映像制作に対する心理的なハードルはぐっと下がりますよね?

 

スマホが普及する前ならば、ビデオカメラは持っていなくても、コンパクト・デジカメぐらいは多くの人が持っていたと思いますが、現在はそうとも限りません。写真も動画もスマホで十分だから…と、スマホしか持っていない人もかなりいます。

 

ですが、スマホで映像ワークショップを行うというのは、現状ではまだ課題が多いように感じます。

 

私は昨年秋に、川崎市でスマホによる映像ワークショップを担当させていただきました。私が担当したのは、「撮影」と「公開」に関する部分のみでしたが、スマホで一番ネックになるのは「編集」部分です。

 

スマホはご承知のように、大きく「iPhone」と「Android」に規格が分かれています。規格が違えば、使用する編集アプリも違い、端末の操作方法も異なります。

 

講座では、「iPhone」ユーザーと「Android」ユーザーとに分かれて、編集作業を説明していました。「iPhone」はまだ統一されているものの、「Android」はメーカーやモデル毎に規格がバラバラで、端末の操作や撮影データの格納場所、大型モニターへの接続方法などについて、主催者側が事前に何通りもやり方を用意・提示してもなお、「操作できない」「接続できない」という事例が多く発生しました。

 

講座を主催した動画サークルによれば、数年前まではこういった講座に参加するのはほとんど「iPhone」ユーザーだったので、規格の違いはさほど問題にならなかったけれど、最近は「Android」ユーザーがかなり増えていると言っていました。

 

本来、「編集」の回で重要なことは、自分のメッセージを伝えるために、撮影した素材の中から何を選び、どうつなぐか、ということです。それが、端末ごとのアプリ操作の違いやモニターへの接続といった「ハード面」の説明ばかりに終始してしまうのは、もったいないように感じました。

 

川崎の講座では、主催者側のスタッフが3~4名いる体制でも苦戦していたので、私が一人で教えるシビルの講座では、現状ではまだスマホはメイン機材にはせず、シビル備え付け又は受講者持ち込みのデジカメ&ビデオカメラを撮影機材、ノートパソコンを編集機材としたいと思います。(ただし、とっさの時の撮影機材としてスマホは重要なので、スマホによる撮影のコツや注意点は解説します)。

 

■編集ソフトについて

 

前回(3年前)の映像ワークショップでは、Windowsに付属する無料の動画編集ソフト「Windows Movie Maker」を使用しました。このソフトは、私の講座に限らず、これまで多くの映像制作ワークショップで使われてきた、簡易かつ優秀なソフトです。

 

Windowsパソコンの操作に慣れている人ならば、ワードやエクセルと似たツール・ボタン画面のため、ほぼ直感的に編集作業ができます。使い方を詳しく説明したムック本も沢山出版されており、自己学習にも向いていました。

 

しかし残念ながら、Windowsは2017年1月に、このソフトのサポートを終了してしまいました。

 

前回(3年前)のワークショップ開催時には、ソフトのサポートは終了しており、Windowsの公式ホームページから正規版をダウンロードすることができませんでしたが、まだ終了直後だったので、ミラーサイトからダウンロードして受講生の方々にも使ってもらいました。

 

しかし今回は、さすがにサポート終了から3年以上も経過したソフトを、講座で使用するソフトとして推奨することはできません。操作性、安全性に問題がないとは限らないからです。

 

そこで、今回のワークショップで使用する編集ソフトを、数か月かけて探しました。

 

有料の編集ソフトは、1万円程度でベーシックかつ十分なものが手に入ります。または、毎月数千円を支払って最新の編集ソフトを使い続けるというタイプもあります。

 

ですが、これらは、映像制作を必ずやりたい・やり続けたいという人向きで、「少し興味がある」「自分に向いているかどうか知りたい」という段階の人には大きな出費です。初心者~中級者向けの講座だからこそ、編集ソフトは「無料」にこだわりたいと思うのです。

 

ネットで「映像編集 ソフト 無料」などのキーワードで検索すれば、無料で使うことのできる編集ソフトがいくつも出てきます。中には、それぞれの編集ソフトの長所・短所を親切に紹介したサイトまであります。

 

私もそれらの情報を参考に、7種類ぐらいの無料ソフトをダウンロードし、それぞれについて使い勝手を検証しました。

 

本来、有料で販売されている編集ソフトが、「無料」で使えるということは、それなりの理由や制限がついているものがほとんどです。例えば…

 

・作品の長さに制限がある(〇分までの動画しか編集できない)
・作品の画面中央に、編集ソフトの名称がドドーンと入る(透かし程度ならまだしも、中央に大きな帯のように入ってしまう)
・無料版では、各種の機能が使えないように制限されている(かなり重要な機能も含む)

 

…といった感じです。その他、有料版とほとんど差異がなく、ほぼ無制限で使える高機能な無料版ソフトもありましたが、ソフトのサイズが1GB以上あり、高性能なノートパソコンでない限り、スムーズに操作ができないという欠点がありました。ワークショップに自分のパソコンを持ち込む人たちが、必ずしも高性能のものを使っているとは限らない(むしろその可能性は低い)ので、それもパス…

 

結局、私がたどり着いたのは、Windows 10に標準装備されている「フォト」というソフトでした。

 

「フォト」という名前の通り、基本的には写真の編集ソフトなのですが、動画の編集にも対応しているのです!

 

一通り「フォト」を使ってみたところ、Windows Movie Makerと比べて、「トランジション」(映像の切り替わり効果)がない…というぐらいで、あとはほぼほぼ同じ機能が備わっていました。標準装備のソフトなので、ダウンロードする必要はありませんし、なにしろ操作がサクサク&簡単、低性能のパソコンでも問題がなさそうです!

 

編集ソフトとしてあまりに簡易すぎるのでは?とも思われるかもしれませんが、その分、ハード面・技術面に時間と労力を取られ過ぎることなく、編集の「考え方」の部分に注力できます。

 

Windows 10に限定されるという点はありますが、上記の経緯から、私は今回の映像ワークショップで「フォト」を編集ソフトとして使うことに決めました。

 

■課題図書

 

他のワークショップをやったことがないので比較ができませんが、私の映像ワークショップを受講してくださる方々は、皆さんとても熱心でやる気がある方が多いです。

 

さらに知りたい、さらに学びたいという方のために、「課題図書」や「参考図書」があったら面白いかも…と、ぼんやり考えていました。

 

「2020年に開講する」というのはずいぶん前から決まっていたので、ここ1年ほどは、課題図書選びも兼ねて、意識的に読書量を増やしていました。映画に関する本、ドキュメンタリー監督が書いた本などの他、社会学や人類学、民俗学に関する書籍も積極的に読みました。

 

フィールドワークや社会実態調査などの手法について書かれた書籍は、ドキュメンタリー制作や取材にも生かせる内容が多くありましたが、それらを読み込んでいてふと、(これじゃあ、頭でっかちになってしまうなぁ)と感じました。

 

先人の教えや失敗について、本で学べるのはありがたいですが、学び始めたばかりの時点で知識ばかりを先取りすると、自らは経験せずにわかったような気になったり、トラブルを怖れて冒険をせず、小さくまとまってしまうような気もするのです。

 

こういう本は、ある程度自分で経験を重ね、試行錯誤をした後に読むのが良いのではないか?と思い、結局、参考図書としては、映像制作にまつわる権利と利害関係について、様々な論点から書かれたテキストを、1冊紹介するだけとしました。

 

10冊の専門書を読むよりも、まずは自分で1本の映像を作ってみる方が、(失敗も含め)よっぽど多くを学べるのではと思います!!

 

■オンライン受講

 

最後に、オンラインの受講についてです。

 

第1回目の講座の時は、山形県の鶴岡から毎回飛行機で参加する受講者の方がいました。第2回目の時は、群馬から高速バスで参加する方もいました。

 

遠方からわざわざ参加してくださる方に理由を聞くと、地元では、映像制作というのは、趣味の1日講座か、もしくは大学の映像学科のような場所でしか学べる機会がない、とのことでした(もちろん、探せばあるだろうとも思いますが)。

 

なので、シビルのような市民目線(?)で、数回に分けて撮影から公開までを学ぶという講座は、ありふれていそうで、実は意外に少ないのかもしれない、と思いました。

 

その他に、海外在住の日本人の方からも、通えたらいいのに…という連絡を頂いたこともあります。

 

これまでの状況と、今回のコロナ・ウィルス騒動⇒集会やイベントの自粛…の流れを受けて、これまで通学のみだった映像ワークショップを、オンライン受講もできないか検討しました。

 

幸い、会場のシビルは有線&無線のネット環境があり、光回線なので、動画の配信も問題がなさそうでした。

 

あとは、諸条件と受講料の設定ぐらいかな…と思い、ここ1週間ほど、考えうる限りのパターンを想像し、どのように対応できるかと考えてきました。

 

…しかし、いざ実際に「ありうるパターン」を想像してみると、すぐに(これは一筋縄ではいかないぞ)と感じました。例えば…

 

・諸事情により、授業は録画ではなく中継で行うが、途中で回線落ちをしていないか、画質・音声共に十分な品質を保てているか等、確認する必要がある。(専任の担当者が必要)

 

・通学に比べ、ネット受講は理解度が低くなる(自宅で「ながら作業」をしながら受講する人もいるだろうし、講師が直接見て回れる教室と違い、遠隔の受講者の実技は講師が見ながら指導することができない)

 

・通学者は、デジカメやパソコンがなくてもシビル備え付けの機材を使用して撮影・編集作業が行えるが、ネット受講者は自分でデジカメとノートパソコンを持っている必要がある。

 

・通学者は、6回以上の出席で修了証を発行することになっているが、ネット受講者の場合は、毎回の講義の理解度を測るために、なんらかのレポート提出&採点などが必要になる。

 

・開講後のコース変更を認めるかどうかという問題(ネット受講から通学への変更、もしくはその逆)⇒できればフレキシブルに認めたいところだが、教室の定員は15名で、教室が過密にならないようにする必要がある。また、通学からネット受講に切り替える人が予想より多く出た場合、通学者が少なくなり、教室での課題作品のグループ制作が出来なくなってしまう。

 

…などなど、少し考えただけでも課題は多く、ひとり講師体制では、もろもろの対応に追われて、肝心な授業のパフォーマンスが落ちてしまうだろうと想像しました。残念ですが、ネット受講は実施しない方向で行きたいと思います。

 

講演会などなら、会場向けに行うものをそのままネットで配信しても、理解度が下がるということはほぼないと思いますが、実技を伴うワークショップを配信する場合は、ネット受講を前提とした講座の組み立てが必要だろうと思います。

 

懸案のコロナ・ウィルスに関しては、そもそもシビルの教室は、3階の3部屋すべてをぶち抜きの状態で使い(ワークショップで三脚などを広げるために、もともとスペースを広く確保しています)、窓も沢山あり換気もできるので、感染予防には十分気を付け対策もしつつ、定員の15名以下で開催すれば良いのかな、と今のところは思っています。

 

以上、3年ぶりの映像ワークショップ開催に向けて、私の方で考えたこと&選んだものなどについてご紹介しました。興味のある方のご参加をお待ちしています♪