『インド日記』製作中! ~なぜインド?編~

こんにちは! 今日は、現在編集作業中の新作、『インド日記』について書きたいと思います。そもそも、なぜ「インド」なのか?!とか(^^)

 

デリーのアジア女性映画祭で、『踊る善福寺』が上映されたため、昨年2月から3月にかけて、私は初めてインドに行きました。

 

多くの国際映画祭は、海外の監督の渡航費まで出してくれるところは稀で、大抵、「もし映画祭に来てくれるなら、映画祭期間中のホテル代は負担する」という条件のところが多いです。ホテル代を出してもらえるのはありがたいですが、そこまでたどり着くのに一番お金がかかるんですけどねぇ・・・って感じですよね(^^;)!!

 

そんなわけで、私はこれまで、自分の作品が海外の映画祭で上映されたことは20回近くありますが、実際に映画祭に出席したのは5回ぐらいです。

 

今回、デリーの映画祭も「ホテル代を出す」という条件が提示されたので、私は航空券について、スポンサーを探すことにしました。ちょうどその頃、知人がインド・ケーララ州へのプレスツアーを計画していたので、例えば「エア・インディア」など紹介してくれないかとお願いしてみました。

 

結局は、映画祭側が日本の国際交流基金に申請して、そちらが私の航空券をサポートしてくれることになったので、スポンサー探しをする必要がなくなったのでしたが、知人はその間にも多方面に働きかけてくれ、インドに行く直前に、インド大使と面会する機会を作ってくれました。

 

「大使」レベルの方との面会は、多分、10分から15分刻みで慌しく設定されているのだろうと思っていましたが、実際には1時間半近くも、大使の部屋でお話することが出来ました。

 

ご存知の方も多いと思いますが、現在の在日インド大使は女性です。大使は、「インドの方が日本よりもよっぽど女性が活躍しているのに、レイプ事件ばかり大きく報道されて、とてもダメージを受けている。是非インドで活躍する女性たちを、ポジティブに取り上げて欲しい」と、いきなり熱烈な期待を寄せられました(^^;)

 

レイプ事件は実際にあった事件なのですから、そこに目を向けずにポジティブな面だけを報道するのだとしたら、それはちょっと違うと思いますが、大使の話を聞いていると、なるほどインドの女性の活躍は、日本の比ではないと思いました。国営銀行の総裁、州知事、大企業の社長といったポジションに、とても多くの女性たちが就いているのです。

 

ただし、インドの格差社会は日本以上に凄まじいので、恵まれた環境の女性ならばいくらでも出世できるのでしょうが、そうではない大多数の女性たちは、ものすごく過酷な状況に置かれているわけです。なので、単に「女社長の数」だけで、男女平等の程度を測るのは、現状を反映したものとは言えないでしょう。

 

大使に、「インドで何を撮影したいのか?」と聞かれたので、「草の根で活動する女性たちとか・・・?」(←とりあえず)と答えました。大使からは「草の根ではなく、トップにいる女性たちに話を聞くべきだ。国営銀行の総裁はどうか?」と聞かれましたが、わたし的には上記の理由から、あまりそういう人には関心が持てないので、曖昧に返事をしておきました。

 

(世界が違いすぎる人に話を聞いてしまったなぁ・・・)と、ちょっと残念でしたが、帰り際に大使から1冊の大きな本をいただきました。「Women Changing India」という本でした。

 

直訳すると「インドを変える女性たち」というタイトルで、主に、これまで男性の職業とされてきたような仕事(タクシードライバー、軍人、映画監督、ラジオDJなど)に進出する女性や、マイクロ・ファイナンスなど、貧困から抜け出すための活動をしている女性たちを紹介した本でした。

 

インドに出発する当日になって、この本をパラパラと流し読みしていた私は、1枚の写真に釘付けになりました。ビデオカメラを構えた女性が、大きな古い遊具の上に登って、子供たちに交じって撮影をする写真でした。別のページには、車の後部座席に置いたテレビモニターで、集まった村人たちに映像を見せている写真が。

 

一体これらは、何・・・?

 

興味を持って、写真に添えられているテキストを読みました。その文章によると、インドのアーメダバードで、露天商などで働く貧しい女性たちが、自分たちで銀行を作り、100以上の協同組合を立ち上げ、ビデオ専門チームを持ち、自分たちの環境を向上させるべく情報発信をしている、とのことでした。しかも、会員はインド全土に200万人。団体名の名前はSEWA(Self-Employed Woimen’s Association=自営業の女性のための組合)・・・

 

!!!すごい!!!

 

もう、出発まで30分ぐらいしかありませんでしたが、私は急いでそれらの写真とテキストをスマホで撮り、空港までの電車に揺られながら、彼女たちの活動について夢中でネットで調べました。

 

学校に通えず、自分の名前さえ書けなかった女性たちが、ビデオカメラの技術を習得し、取材し、自ら情報発信しているなんて!!

 

私は、「アーメダバード」という地名さえ聞いた事がなく、デリーからどれだけ離れたところにあるのかも知りませんでしたが、(絶対彼女たちに会いたい!)と思い、突如私の旅に、SEWAを訪問するという大きな目的が加わったのでした。

 

映画祭参加という本来の目的に加え、SEWA訪問という目的も持ったインドの旅は、こうして始まりました。

 

続きはまた次回に♪