2023年映像ワークショップ振り返り#2:編集ソフトをどう選ぶか

今回(2023年)の映像ワークショップの募集チラシです:

 

 

 

このチラシは、前回(2020年)のチラシをほぼ流用したものです。「受講される皆さんへ」の欄には、「ご自分のデジカメ、ビデオカメラ、ノートパソコン(Windows限定)を持ち込み、受講していただくことも可能です」と書いてあります。

 

スマホを使った映像ワークショップもそうですが、WindowsとMac(スマホならアンドロイドとiPhone)では、あらゆる操作が異なるため、時間も体制も限られるこの講座内では、両方は扱いきれないからです。操作が異なるということは、説明資料や解説映像も2パターン作らないといけないということですから!

 

現在、世の中に出回っているパソコンの多くはWindowsですし、私もWindowsユーザーなので、この講座で使う・持ち込むパソコンはWindowsに限定しました。

 

講座で使うパソコンをWindowsにするということは、(Macユーザーの方には申し訳ないですが)まあ良いとして、最大の問題は「編集ソフト」でした。前回も編集ソフトの選定で失敗し、苦い経験をしたのです。募集チラシを作成した時点では、実は今回のワークショップで使う編集ソフトが決まっておらず、ぎりぎりまで(どうしよう…)と悩んでいました。

 

ネットで検索すれば、有料&無料含めて、本当にたくさんの映像編集ソフトが見つかります。ただ、映像ワークショップで使うのにちょうど良いものとなると、いまだに「ない」のです…!

 

なぜか? そもそも、私は映像ワークショップで使う編集ソフトは、「無料」にこだわっています。ワークショップを受講する時点では、その人がその後「ハマる」かどうか、継続するかどうかは分からないものです。「とりあえずやってみよう」と、参加の心理的・物理的ハードルを下げるために、初期費用はなるべく抑えたいのです。

 

(私自身、初めてのビデオカメラを購入してから1年間は、ビデオカメラに付属の、無料の簡易編集ソフトで編集をしていました。初監督作『ブライアンと仲間たち』の撮影が終わり、映画として編集する段階になって初めて、アドビの「プレミア・プロ」を約7万円で購入しました。最初に7万円かかるとしたら、もしかしたら映像制作をやっていなかったかもしれません?!)

 

なので、「有料」もしくは、ソフト自体が無料でも、重要な機能が有料(または課金制)でしか使えないというソフトは、あらかじめ候補から除外しています。

 

その上で、さらに以下の点なども考慮しながら探します:

 

・パソコンでも使用できる(スマホ用の映像編集アプリは沢山ありますが、スマホ、とくにアンドロイドの操作は端末によって大きく異なるので、この講座ではパソコンで使えるソフトを前提とします)
・オフラインでも使用できる(オンライン接続時のみ使えるというソフトも結構あります)
・パソコンのスペックが低くてもソフトが駆動できる(高機能な無料ソフトは、ソフトのデータサイズが1GBを超えるようなものもあります。そういうソフトの場合、それを動かすパソコン側も高スペックでないとサクサク動きません)
・最初の30日間のみ無料(あとは有料)などの期間制限がない
・書き出した映像(完成映像)に透かしのロゴマーク、宣伝などが入らない
・書き出す映像の長さ・データサイズに制限がない(数分、数十MBまでの映像しか書き出せないなどの制限のあるソフトもあります)

 

…このような条件で探していくと、(私が見逃している可能性もありますが)、これ!という編集ソフトは「ほとんどない」という結果になるのです(> <)

 

今回唯一、候補として残ったのが「Shotcut」と「Openshot」のふたつでした。両者とも、オープンソース*で作られたソフトです。(*オープンソース:ソフトウェアを構成しているプログラム「ソースコード」を、無償で一般公開すること。そうすることで誰でもそのソフトウェアの改良や再配布が行なえるようになる。これは、世界中の有志のプログラマにより、継続的に改良され続けるソフトウェア開発方式と捉えることもできる。ITトレンド用語集より引用)。

 

このふたつのソフトは、ソフトは軽いのに、有料ソフトと遜色ないほどの機能が満載です。ならばそれで良いじゃないかと思われるかもしれませんが、高機能・多機能というのは、初心者向けのワークショップでは、難しくて使いこなせず、つまづく要因になり得るので、懸念材料でもあります。

 

また、両ソフトとも海外で開発されたソフトのため、操作画面やボタンは日本語に対応しているものの、操作マニュアルは英語しかなく、YouTubeなどにアップされている操作解説映像も、英語でなされているものがほとんどというのが難点でした。

 

最終候補として残った「Shotcut」と「Openshot」を、あれこれ試して使い心地を比べてみて、最終的に、講座で使用する編集ソフトは「Shotcut」にすると決めました。高機能すぎるという欠点(?)をカバーするためには、とにかく操作解説資料を分かりやすく工夫すること、そして、操作画面を録画した解説映像を充実させることが大事です。大丈夫かなぁ…とは思いつつも、「Shotcut」を使う前提で準備を進めることにしました。

 

当時のX投稿です:

 

2023年4月12日
映像ワークショップを担当する人ならば、悩ましいのが「編集ソフト」問題。5月13日~の講座開始に向け、「映像制作に興味がある」程度の人が、無料で、機能制限なく、低性能のPCでも動くようなソフト…。色々探して2つまで絞り込んだので、今日はそれらを使い倒し、どちらにするか決めます!

 

【同日の別投稿】以下の記事は、3年前の映像ワークショップ開講前に考えたこと。基本的な問題は、現在も変わらないと思う⇒映像ワークショップを開催するには?~機材、編集ソフト、課題図書、オンライン受講etc. ~現在の私見・実践まとめ(記事はこちら)。講座の定員はあと3名ほど。ご興味のある方はぜひ!

 

さて、今回初めて導入した高機能すぎる無料の編集ソフト、果たしてどんな結果になったのでしょうか…?! 「2023年映像ワークショップ振り返り#3」へ続きます。