【制作日誌】クレジット漏れなきよう! (2018.04.03 革命前夜)

撮影した素材を見返す作業は、相変わらず遅いペースとは言え、日々進めています。現在は、2015年6月に撮影した映像を見返しています。

 

ドキュメンタリーの場合、作り手・作り方にもよりますが、特に撮影初期の頃は、まだ視点・対象が定まっておらず(絞りきれておらず)、「興味のあるものはとにかく何でも撮っておく」という感じで撮影することが多いと思います。

 

ドキュメンタリーの場合は、そのときに撮っておかなければ、あとで再現することはできないのですから(再現ドラマを差し込むドキュメンタリーももちろんありますが)、使えるかどうかは別として、まず撮っておく・・・これが大事な姿勢だと思います。

 

とはいえ、自分の体はひとつですし、時間もお金も限られます。遠方で興味のあるイベントにも、身軽に飛んでいければ良いですが、なかなかそうも行きません。

 

初めの頃は、りべるたんの「シェアハウス」としての側面にも注目しながら、撮影や取材をしていたので、偶然ネットで知った、大阪のビッグイシュー基金が主催したシンポジウムを、どうしても撮影したい!と思ったのでした。

 

そのイベントは、2015年5月31日に大阪で行われたイベントで、「市民が考える! 若者の住宅問題&空き家活用」というテーマでした。

 

当時の案内は、以下のように書いてありました。

 

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『市民が考える!若者の住宅問題&空き家活用』~『若者の住宅問題』と空き家活用を考えるシンポジウム大阪編のご案内~

 

ビッグイシュー基金では、住宅政策の再構築が日本の貧困問題解決の切り札ではないかと考え、2013年より「住宅政策提案・検討委員会」を設け、「住宅政策提案書」をまとめました。

 

これを裏付けるため、2014年8月、首都圏/関西圏に住む

 

①若年(20~39歳・学生除く)
②未婚
③低所得層(年収200万円以下)の男女を対象に調査を実施し、1767人の回答を得ました。

 

調査では、6.6%もの人が広義のホームレス状態を経験している一方で、4人に3人が親と同居せざるを得ない状況にあり、4割弱が「無職」であることなど、若年層の困窮状況が明らかになりました。この問題を改善していく上で、大きな政策の枠組みを描き直すとともに、「親の家」や増え続ける「空き家」を含む、市場の住宅ストックの活用が鍵として、浮かび上がりました。 この調査報告『若者の住宅問題』をまとめた平山洋介委員長をはじめ、多彩なメンバーが参加し下記の要領でシンポジウムを開催します。第2部では大阪市生野地域で空き家活用事業を展開する月川至さん、自治体での先進的な取り組みを行う神戸市住宅政策課、ITシステムで不動産業界に革新をもたらした伊藤嘉盛さんをお招きし、会場の皆さまとのトークセッションの時間を設けました。ふるってご参加ください。

 

【日時】2015年5月31日(日)13時半~16時半(13時より受付開始)
【場所】天満橋 国民会館 大ホール

 

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これは、りべるたんとも大いに共通する部分があるかもしれない!と、私はとても興味を持ったのですが、この日は東京で用事がありましたし、大阪はそう気軽に行ける距離ではありません(^^;)

 

「インタビュー」は、誰かに代理で撮影してもらうのはなかなか難しいかと思いますが(被写体の方との関係性がなく、なおかつ作品のテーマを理解していない場合は、どんなことを質問したらよいかさえ分からないでしょう)、集会やシンポジウムの撮影というのは、大抵、撮る内容や撮り方が決まっていますから、他人にもお願いしやすいです。(基本的に登壇者のみ撮影で、来場者は後姿で撮る、登壇者はバストショットで撮る、会場の全景も撮っておく、配布資料は全て入手する等)。

 

そこで、関西在住のドキュメンタリー監督、金稔万(キムインマン)さんに、お仕事として撮影を依頼しました。運よく、稔万さんの予定が空いていて、撮影をお願いすることが出来ました!

 

以下は、稔万さんが撮影してくださった映像の、キャプチャ画面です。

 

シンポジウム開始前の会場の様子。

 

 

スクリーンに映し出された、イベントタイトル。

 

 

集会では、調査報告書をまとめた神戸大学の平山洋介先生のお話をはじめ、欧米の公共住宅に詳しい先生や、東京で野宿者支援やシェルターを運営する稲葉剛さん、大阪で障害者のグループホームを運営する方、神戸市で公営住宅の施策に携わる職員、不動産業者・・・など、様々な立場から、若者の貧困と空き家の活用という問題提起、分析、具体的な政策提言などが行われ、本当に興味深いシンポジウムでした。

 

平山洋介先生のお話。

 

 

シンポジウムの後半では、会場からたくさん質問が出ました。市議会議員、ソーシャルワーカー、空き家を持っている個人など、参加者の顔ぶれも多彩。

 

 

稔万さんのカメラワークは安定して見やすく、なおかつ、シンポジウム自体も示唆に富む内容だったため、撮影してもらえて助かりました。

 

集会の最後まで撮影してもらう約束でしたが、集会終了後に、オマケ映像も入っていました!

 

それは、会場から撮影した大阪城! ベタではありますが、「ここは大阪!」というのが一目で分かる、こういう映像も撮っておくのは、とても大事なのです。さすが!!

 

 

 

稔万さんに撮影をお願いするのは初めてでしたが、(お願いしてよかった!)と思いました(^^)。

 

・・・しかし・・・

 

その後、撮影・取材が進むにつれ、私の中で、りべるたんの「シェアハウス」という要素は、どんどん小さくなっていきました。もちろん、「ゼロ」ではないのですが、「住居」よりも「人」、そして「団体(グループ)」より「個々人」に、具体的な関心が定まっていったのです。

 

なので、シンポジウムで話されていたような、ざっくり「若者」と括り、数値を出し、傾向を分析し、それを政策にも反映させようとする・・・というのは、もちろん世の中にとっては必要ですが、私の映画には必要ないと思いました(沈)。

 

割合や傾向ではなく、「個」を捉えたいのだ、と。

 

なので、映画には学問的・行政的な見地からの分析や提言は入れたくないと思いました。

 

せっかく撮ってもらったのに、申し訳なくもあるのですが、でも、前述したように、ドキュメンタリーはとにかく撮っておかないとどうしようもないので、撮ってもらうこと自体は必要なことでした。

 

しかし、今の時点で既に「使わない」という判断をした場合、重要なのは「クレジット」です。

 

今回、この映画のために、稔万さんに限らず、覚えているだけで10以上の個人・団体から、映像や写真を提供していただいています。もちろん、使わせてほしいという前提でデータの提供をお願いしたものばかりですが、それらを実際に本編でも使うかどうかは、最後の最後までわかりません。

 

本編で使う映像ならば、撮影者のクレジット・リストから漏れることはまずないと思いますが、「提供してもらったのに結局使わなかった」という場合、うっかりするとクレジットに記載するのを忘れてしまう危険性があります。

 

それは絶対絶対あってはならないことなので、今日はクレジット専用のノートを用意しました。今後はこのノートに、映像、写真、音楽、題字その他、この映画に関わってくださった全ての方を、漏れなく記載して行こうと思います。(使わない場合は、「撮影者」としてのクレジットには出来ませんが、「協力」などのクレジットでお名前を記載させていただくと思います)。

 

 

 

ちなみに、余談ですが、以下の写真は、私が撮影期間中に使用していた「アイデアノート」です(^^)

 

 

撮影期間中、常に携帯し、思いついたアイデアを(実現可能性は無視して)書き込んでいました。あの人に話を聞きたい、こういう景色を撮っておきたい、チラシの元データを送ってほしい、音楽はこうしたい・・・などなど、今読み返すと自分のことながら(熱いなぁ!)とびっくりしてしまうようなノリで書かれています(^^;)

 

 

 

 

撮影中盤で、「仕切り直し」してる(^^)

 

 

おぉ! 『革命前夜』というタイトルは、2016年1月3日に決めたんだなぁ! 「イタリアの60年代映画名とダブるが良し」とか書いてるし(^^;)

 

 

モノが行方不明になったり、勝手に捨てられることが多発するりべるたんで、このアイデアノートを無くさないように&捨てられないように、表紙に自分の名前を大きく書いていました(^^;)

 

 

もちろん、読まれたら恥ずかしい内容ばかり書かれていますが、紛失や廃棄のような大損失に比べたら、恥ずかしさなんてしょせんどうでもいいので、小学生の持ち物のように名前をでかでかと書いていました。

 

幸い、一度も無くさずに済みましたが(^^)。

 

あ! 「読まれたら恥ずかしい」(であろう)つながりで、もうひとつ。以下の写真は、真壁さんが撮影した、最近りべるたんに置いてあったという手書きのメモ。

 

 

なにこれ、爆笑www!

 

皆さん、忘れ物や落し物には、くれぐれも注意しましょうね♪

 

以上、本日の制作日誌でした。